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環境省環境研究総合推進費S-13 持続可能な沿岸海域実現を目指した沿岸海域管理手法の開発環境省環境研究総合推進費S-13 持続可能な沿岸海域実現を目指した沿岸海域管理手法の開発

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2016年10月11日

第11回エメックス会議 ICM & 里海特別セッション報告

日時
平成28年8月23日
場所
ロシア・サンクトペテルブルク アジムットホテル

里海特別セッションの概要

第11回エメックス会議の開会式後の特別セッションとして、ICM(Integrated Coastal Management:統合沿岸域管理)&里海特別セッションを約70名が参加して開催しました。

金澤和夫兵庫県副知事の開会挨拶の後、コンビーナの柳哲雄国際エメックスセンター特別研究員が「このセッションの目的は、現在日本で行われている環境省環境研究総合推進費によるS13「持続可能な沿岸海域実現を目指した沿岸海域管理手法の開発(2014-2018)」の経過報告を行い、関連した諸外国のICMと比較検討を行うことによりより有効な統合沿岸域管理法の確立を目指すことであると説明を行いました。

特別セッション前半は、柳特別研究員がS13の全体説明と現在までの成果の報告を行いました。続いて奥田哲士氏(龍谷大)からS13のテーマ1である「瀬戸内海の栄養塩濃度管理法」に関して、「透明度と基礎生産量の関連」に関する報告が行われました。さらに小松輝久氏(東京大・大気海洋研究所)からS13のテーマ2である「志津川湾における持続可能な養殖法開発」に関して、「カキ筏数の削減が養殖期間の短期化と夏季の底層溶存酸素濃度の改善に貢献している」という報告が行われました。さらに吉田尚郁氏(環日本海環境研究 センター)からS13のテーマ3である「日本海環境の国際管理法」に関して、「国際・国内・地域の三層管理が有効である」という報告が行われました。そして、仲上健一氏(立命館大)からS13のテーマ4である「沿岸海域の経済・文化・漁業調整」に関して、「瀬戸内海の経済的価値が近年増大している」という報告が行われました。これらの報告に関して出席者から「社会科学の成果を統合数値モデルにどのように取り込むのか。」、「環境の経済的価値は何によって決まるのか」といった質問があり、発表者との議論が行われました。

特別セッション後半は、世界の沿岸域管理について、根木桂三氏(環境省閉鎖性海域対策室)から「日本の沿岸海域環境施策の現状報告」が行われました。続いて、R. Summers氏 (アメリカ・メリーランド大) から「アメリカ・チェサピーク湾における総量削減と海域環境改善の関連に関する報告」が行われました。さらにD. Nemazie 氏(アメリカ・メリーランド大)から「フィリピン・ラグナ湾の健康診断に関する報告」が行われ、S. Sachoemar氏(インドネシア・応用技術庁)から「インドネシアにおけるSatoumi創生運動の紹介」が行われ、最後にR. Kosyan氏(ロシア・シルショフ海洋研究所)から「ロシアの沿岸海域分類に関する紹介」が行われました。

総合討論では、「日本とアメリカの総量削減政策の違いは何か」、「各企業を総量削減に協力させるにはどうすればよいか」、「日本の海の健康診断とフィリピンの海の健康診断の違いはあるのか」、「海の健康診断の項目はどう決めるのか」、「海の健康診断を行う頻度はどう決めるのか」、「マイクロ・プラスチックを含む海洋ゴミ対策はどうすればよいか」などに関して活発な議論が行われ、今後、さらにICM and 里海に関する国際セッションを続ける必要があることが確認されました。

参照

1.ICM & 里海セッションの概要

2.ICM and Satoumi Special Session Abstract(英文)