English

環境省環境研究総合推進費S-13 持続可能な沿岸海域実現を目指した沿岸海域管理手法の開発環境省環境研究総合推進費S-13 持続可能な沿岸海域実現を目指した沿岸海域管理手法の開発

Home » 研究内容 » テーマ4(課題番号S-13-4)沿岸海域の生態系サービスの経済評価・統合沿岸管理モデルの提示

テーマ4(課題番号S-13-4)沿岸海域の生態系サービスの経済評価・統合沿岸管理モデルの提示

概要

日本の沿岸海域の生態系サービスの経済価値およびサステイナビリティ評価を計算する。沿岸域の持続可能な発展のために必要な沿岸域統合管理手法の提案を行う。非漁民と沿岸海域を結びつけ、彼らを沿岸海域管理に組み込むために必要な里海物語の発見・構築・継承を行う。対馬・五島の海洋保護区における漁業活動調整に関する方式を提案する。

リ-ダー 仲上 健一(立命館大学政策科学部教授)  

サブテーマ1 生態系サービスの経済評価

平成26~28年度実績

イ)沿岸域に関する基礎的データを整備するとともに、日生地区、七尾湾の漁業協同組合員に漁業の継続性についての意識調査を行う。漁業を中心とした地域経済への影響について産業連関分析を行う。
ロ)生態系サービス:瀬戸内海沿岸および志津川湾、七尾湾沿岸に居住する住民を対象とした生態系サービスの経済的価値を測定するWebアンケートを実施するとともに、評価対象となる生態系サービスの測定および抽出、表明選好法のためのシナリオを検討した。 ハ)Costanza法:Costanza法に基づく日本の沿岸域を対象とした経済価値評価を実施し、データベース構築と干潟への適用を実施した。 ニ)サステイナビリティ評価:瀬戸内海のサステイナビリティ評価適用に向けた精緻化およびシナリオ分析を行った。また、岡山県備前市日生地区の日生中学校におけるアマモを用いた環境教育の調査を参与観察の手法を中心に実施し、生徒への聞き取り調査などを通してその意義と効果測定を行った。

平成29年度計画

イ)沿岸域に関する基礎的データを整備するとともに、日生地区、七尾湾慣例の漁業協同組合員に漁業の継続性についての意識調査を行う。漁業を中心とした地域経済への影響について産業連関分析を行う。
ロ)志津川湾、日生地区、七尾湾の生態系サービスを測定し比較検討する。
ハ)Costanza法に基づく経済価値評価を瀬戸内海、三陸沖、日本海に適用する。
ニ)サステイナビリティ評価方法のマニュアルを策定し、志津川湾、日生地区、七尾湾に適用する。

実施機関 学校法人立命館
リ-ダー 仲上 健一(立命館大学政策科学部教授)

サブテーマ2 沿岸海域三段階管理法提案

平成26~28年度実績

大阪湾と播磨灘を対象に、里海や自主的な沿岸海域管理の事例および総合的な沿岸海域管理の試み、海域・灘を単位として取り組んできた事例の分析を行い、広域的な総合管理の実現を拒む要因と改善点を抽出した。そしてこれらの結果をガバナンス階層に沿って総括することで、各階層での要諦を整理し、多段階管理仮説のフレームワークを構築した。また、チェサピーク湾(アメリカ)等海外の事例分析を行い、三段階管理を骨格とする多段階管理仮説フレームワークの有効性と課題を探った。

平成29年度計画

大阪湾、播磨灘、志津川周辺海域を対象として、里海を構成要素とする都道府県の管轄を超えた海域・灘におけるガバナンスを中心に、里海・沿岸域管理の実態調査を行う。他テーマの分析結果や統合的な成果指標を活用しながら、多段階管理の実行可能なモデルを改善する。

実施機関 学校法人近畿大学
リ-ダー 日高 健(近畿大学産業理工学部教授)

サブテーマ3 人文科学的考察に基づく市民と沿岸海域を結ぶ物語の発見・構築・継承

平成26~28年度実績

北陸地方、志津川、芸予地方を研究拠点とし、現地の漁協や博物館等の協力を得て調査を行う中で、海域ごとの里海の生活文化の特色を明らかにする中で、日本の伝統的な魚食文化が危機的な状況にあり、多様性が損なわれようとしていることが判明した。里海の景観・漁業・魚職などを総合的に評価し、里海創生につながる「里海物語」の完成を目指した。

平成29年度計画

北陸地方、志津川、芸予地方を研究拠点とし、海域ごとの里海の生活文化の特色に関する調査結果をまとめる。子供からお年寄りまで楽しく参加できる「里海再生」の実践について提言する。

実施機関 学校法人愛知大学
リ-ダー 印南 敏秀(愛知大学地域政策学部教授)

サブテーマ4 対馬・五島の海洋保護区における漁業活動調整

平成26~28年度実績

対馬・五島の海の地域知を収集し、沿岸環境科学的手法による高い精度での科学化を行った。MPAでの保護対象種や海洋・気象の現象を検討し、漂流ブイによる観測や議論を行うなかで、対馬暖流や季節風との関係を解明した。市民の海の利活用にも焦点を置き、多様な主体による自由討議の場を継続的に設け、MPA設定のツールボックス化を図った。特に両地域の海の自然史の情報収集と地域でのネットワークづくりが進展した。対馬市の海洋保護区設計や国立公園の地域での活性化、五島市のジオパークの検討などに貢献できた。

平成29年度計画

対馬・五島の漁業者や住民の地域知を活用するMPAが、対馬暖流を通じて広域的につながるイメージを強化する知見の集約を行う。陸海連携を地域から海流・流域沿岸までの諸スケールに連続させる。

実施機関 国立大学法人九州大学
リ-ダー 清野 聡子(九州大学大学院工学研究院准教授)