International Center for Environmental
Management of Enclosed Coastal Seas
公益財団法人 国際エメックスセンター

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ごあいさつ

公益財団法人 国際エメックスセンター 会長 鈴木基之

最近の20年の変化

閉鎖性海域の環境破壊が大きな問題として認識されるようになり、瀬戸内海、チェサピーク湾、バルト海、地中海などが抱える共通した課題であることから、これらの海域を持つ世界の国・地域の人々が集い、1990年に第1回のエメックス会議(世界閉鎖性海域環境保全会議)が神戸で開催されました。
この時期は、世界が大きな変動を遂げつつある時でもあり、国際連合に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が設置され、1992年には、国連環境開発会議(UNCED)がリオデジャネイロで開催されるとともに国連気候変動枠組条約(UNFCCC)も採択され、地球温暖化を如何に抑制するか、あるいは既に進行している温度上昇にどう適応していくかなど、世界的な規模での合意形成が必要となった時期でした。その取り組みは今もなお続けられていますが、2012年の「リオ+20」迄の20年間にも世界人口は30%、世界総生産は2.5倍ほどに上るなど、限られた地球の中で人間活動は量・密度ともに急速に増大し続けています。

海とわれわれ

海は、かつて地球上に生命を生みだした母体であり、生物体の生育にとって必須元素である種々のイオン類を含んでいます。しかし、温暖化は「海」に対して、海面上昇、海水の酸性化、海域生態系の変化等、大きな影響を及ぼし、さらに人口増加に伴い陸域からの汚濁負荷も大きくなるでしょう。
また、海洋は、太陽エネルギーを得て水蒸気を生成します。水蒸気は上空で凝縮し雲となり、一部は陸上に雨を降らせます。この水循環が、地球上のエネルギーバランスをとることによって、生物の生存に適した温度環境を作り上げるとともに、この雨という淡水が陸上の全ての生命体を支える基となります。さらに、人間活動から発生する諸々の物質を海に流し出す働きをもっています。そして、この汚濁負荷の影響を最も厳しい形で受けているのが沿岸域であり、閉鎖性海域はその典型的な場と言えるでしょう。

沿岸域と大洋

「海」は、人類に自然の厳しさと優しさを教え、生命の源を支える貴重な場でもあります。海に敬意を持ち、海の持つ仕組みを大切に保全する第一歩として、特に「沿岸域」の健全な生態系を維持しなくてはならないという意識は重要です。かつて大洋は無限とも思えるその広さ・大きさ故に、人間活動の影響は限定的だと考えられていましたが、結局、海は陸地に囲まれた大きな閉鎖性水域と考えることもでき、流れ込んだ物質は種々の変化を受けつつ、蓄積していくことになります。

一層の活発化を

近年、多様な化学物質が人間活動の中で利用されるなど、様々な負荷が河川等を通じて陸域から海域へともたらされています。そのため、海域を健全に保つためには、流域・地域固有の特性を良く理解したうえで、より一般化した総合的な管理法を確立していくことが求められています。
国際エメックスセンターでは、こうした視点に立って、閉鎖性海域から沿岸域、さらに広域の海域も念頭においた健全な「海」の創造に向けて、国内外の幅広い分野の科学者、政策担当者、市民が集い、持続可能な海の利用のあり方を検討し提言していくことが大切だと思います。そして、これらの活動を継続的なものとしていくために、次世代を担う若手の育成・強化にも尽力したいと考えています。