閉鎖性海域情報
日本の閉鎖性海域
閉鎖性海域とは、湾内の最大断面積に比べて湾口部の断面積が小さいため、海水交換が悪く水質汚濁や富栄養化が起こりやすい海域です。国内では、瀬戸内海、東京湾、伊勢湾など88海域、世界では、瀬戸内海をはじめチェサピーク湾、地中海、バルト海などの海域が閉鎖性海域とされています。
これらの閉鎖性海域について、その地理的諸元、環境、自然、文化・歴史、産業などに関する情報を掲載しています。
日本の閉鎖度指標
- 湾口幅
- その海域の入口の幅:W
- 面積
- その海域の内部の面積:S
- 湾内最大水深
- その海域の最深部の水深:D1
- 湾口最大水深
- その海域の入口の最深部の水深:D2
- 閉鎖度指標
-
この数値が高いと、海水交換が悪く富栄養化のおそれがあることを示します。水質汚濁防止法では、この指標が1以上である海域等を排水規制対象としています。
日本における環境基準類型指定水域
公共用水域の水質汚濁を防止するために、国は人の健康の保護や生活環境の保全のうえで維持されることが望ましい水質保全行政の目標として、環境基準を定めています。
生活環境の保全に関する環境基準については、河川、湖沼、海域ごとに利用目的に応じた水域類型を設けてそれぞれ基準値を定めています。
環境基準類型指定水域とは、国や都道府県が水域の状況を考え、この類型を具体的に指定した水域のことです。
海域の生活環境の保全に関する環境基準
類型 | 利用目的の適応性 | 水素イオン濃度(pH) | 化学的酸素要求量(COD mg/l) | 溶存酸素量(DO mg/l) | 大腸菌群数(MPN/100ml) | n-ヘキサン抽出物質(油分等)(mg/l) |
---|---|---|---|---|---|---|
A | 水産1級・水浴・自然環境保全・B以下の欄に掲げるもの | 7.8~8.3 | 2以下 | 7.5以上 | 1,000以下 | 検出されないこと |
B | 水産2級・工業用水・Cの欄に掲げるもの | 7.8~8.3 | 3以下 | 5以上 | - | 検出されないこと |
C | 環境保全 | 7.0~8.3 | 8以下 | 2以上 | - | - |
備考 : 水産1級のうち、生食用原料カキの養殖の利水点については、大腸菌群数70MPN/100ml以下とする。
(注)
- 自然環境保全:自然探勝等の環境保全
- 水産 1級:マダイ、ブリ、ワカメ等の水産生物用及び水産2級の水産生物用
水産 2級:ボラ、ノリ等の水産生物用 - 環境保全:国民の日常生活(沿岸の遊歩等を含む。)において不快感を生じない限度。
海域の生活環境の保全に関する環境基準
類型 | 利用目的の適応性 | 全窒素(mg/l) | 全燐(mg/l) |
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I | 自然環境保全・II以下の欄に掲げるもの(水産2種及び3種を除く) | 0.2以下 | 0.02以下 |
II | 水産1種・水浴・III以下の欄に掲げるもの(水産2種及び3種を除く) | 0.3以下 | 0.03以下 |
III | 水産2種・IVの欄に掲げるもの(水産3種を除く) | 0.6以下 | 0.05以下 |
IV | 水産3種・工業用水・生物生息環境保全 | 1以下 | 0.09以下 |
(注)
- 自然環境保全:自然探勝等の環境保全
- 水産 水産 1種:底生魚介類を含め多様な水産生物がバランス良く、かつ、安定して漁獲される
水産 2種:一部の底生魚介類を除き、魚類を中心とした水産生物が多獲される
水産 3種:汚濁に強い特定の水産生物が主に漁獲される - 生物生息環境保全:年間を通して底生生物が生息できる限度
日本における総量規制区域
広域な閉鎖性海域について、その海域への汚濁負荷量を全体的に削減しようとする仕組みが総量規制制度です。この制度は、工場等の排出水に含まれる物質の濃度を規制するだけでは環境基準を達成維持することが難しい海域を対象にしており、工場等に対し汚濁負荷量排出の総量規制などを行っています。
その対象区域(指定水域)を総量規制区域としています。